3DCG屋さんの活動記録

PROFILE ★★こんな人です

3DCGを活用した映像や没入体験コンテンツの制作をしています。テクノロジーの社会実装に興味があり。テクニカルディレクター。面白いこと新しいことにワクワクする気持ちに『素直』でいつづける。

2025年8月10日日曜日

映像ファイル形式と4:4:4 / 4:2:2 / 4:2:0の使い分け (Tech備忘録)




ファイル形式4:4:4 / 4:2:2 / 4:2:0の使い分け

結論(まずこれでOK)

  • 再生用の本命ProRes 422(10bit)
    → 軽くて安定。まずはこれで試写。問題が出た場面だけ 422 HQに差し替え。

  • アーカイブ/最終保存ProRes 4444(10/12bit)
    → 最高画質で保管・再編集に強い。再生は重いので本番は 422 系を推奨。

  • 避けたい4:2:0(バンディング・色にじみが出やすい。壁面CGでは基本NG)


4:4:4 / 4:2:2 / 4:2:0 の要点

種別

クロマ

向く用途

長所

注意点

4:4:4

等倍(横/縦フル)

細線・原色境界が多いCG、テキスト

エッジが最もクリーン

データ/帯域が重い、機材要件が厳しい

4:2:2

横1/2(縦フル)

実写、ほとんどのCG、現場再生

画質と安定のバランス最強(推奨

横方向の極端な色境界で稀ににじみ

4:2:0

横1/2×縦1/2

配信・省帯域用途

データが軽い

壁面表示では破綻が目立ちやすい


「422」と「422 HQ」どっち?

  • まず 422(10bit)で試写 → もし色境界のにじみ/再サンプリングでの破綻が気になれば、そのカットだけ 422 HQ

  • HQは約1.5倍重い=ストレージ/再生負荷が上がるので、**“必要箇所だけHQ”**が現場最適。


ビット深度(超重要)

  • 10bit推奨(暗部グラデ対策に最も効く)。

  • 8bitだと黒〜低輝度で**段差(バンディング)**が出やすい。

  • 素材・出力・表示まで、可能な限り10bitで統一する。


出力パイプライン(色と帯域の実務)

  • GPU出力RGBフル または YCbCr 4:4:4で固定。

  • 帯域目安:4K60 4:4:4 8bit ≈ 18Gbps(HDMI 2.0上限付近)。10bitや更に高解像度は機材要件が上がる。

  • 分割出力(1080p×複数)なら 1080p60 4:4:4 10bitは現実的。

  • ケーブル/延長光HDMI(AOC)非圧縮HDBaseT など“18Gbps対応”を選ぶ。

  • GPU出力RGBフル or YCbCr 4:4:4で固定。

  • 4K604:4:4 8bit ≈ 18Gbps(HDMI 2.0上限付近)。4:4:4 10bitはさらに重く、機材要件が跳ね上がる。

  • 分割出力(1080p×複数)なら1080p60 4:4:4 10bitは現実的。

  • ケーブルは光HDMI(AOC)や非圧縮HDBaseTなど“18Gbps対応”を選定。など“18Gbps対応”を選定。


推奨ワークフロー(失敗しない手順)

  1. マスター:ProRes 4444 保存

  2. 再生用:ProRes **422(10bit)**で書き出し

  3. テスト

    • 原色の細線グリッド/斜めエッジ

    • 真っ黒〜5%グラデ
      実投射確認

  4. 破綻が見える箇所だけ 422 HQ に差し替え

  5. GPU:4:4:4/RGB、48kHz音声、余計な映像“演出”はOFF(超解像・補間など)


まとめ(TL;DR)

  • **現場の安定=ProRes 422(10bit)**が基本。

  • どうしても気になる絵だけ 422 HQ

  • 4:2:0は使わない

  • 品質の鍵は**“4:4:4よりもまず10bit”と正しい出力設定**。


OS/GPU 設定チェック(簡易)

  • Windows:WASAPI排他/10bit出力可否、GPUのRGBフル/4:4:4固定、HDR無効(必要時のみ)。

  • macOS:ディスプレイのリファレンスモード/色域、RGBフル、ミラー/拡張設定の確認。

  • GeoBox/分配機:EDID固定、入力4:4:4許可、スケーリング/超解像はOFF。

  • プロジェクター:映像“補正/補間”OFF、色温度/ガンマをRec.709/BT.1886に近づける。

クイックプリセット(例)

ケース

素材

GPU出力

備考

安定最優先

ProRes 422 10bit

1080p60 4:4:4 10bit

分割出力・長距離伝送に向く

線が多いCG

ProRes 422 HQ 10bit

1080p/2160p 4:4:4

帯域に余裕あるとき

保存用

ProRes 4444

アーカイブ/再編集用

必要なら、あなたのPC/GPU・GeoBox・プロジェクター型番に合わせて、最適な書き出しプリセットとGPU出力設定を具体的に作ります。


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